みぢかを機能で考える

ISIDエンジニアリング・機能エンジニアが機能で考える開発について紹介します。

スーツケースは2輪キャスターか、それとも4輪か?

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 主要ターミナル駅や、空港ではキャスター付のスーツケース、カバンをお持ちの方が多くなりました。接触事故も多くなり、注意を促す構内アナウンスもよく耳にするようになりました。

 

    私も仕事柄宿泊を伴う移動が多く、キャスター付スーツケースは手放せません。短期での移動用に飛行機でも持ち込めるレベルのもの、もう一回り大きいけれど新幹線の荷物棚に載せることができる一週間レベルの移動用、そして海外や国内長期出張で使う大型のもの、以上3つを使い分けています。

 

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ところで、ここで問題になるのがキャスターのタイプ。皆さんは2輪キャスター、あるいは4輪の自在キャスターとどちらを使われていますでしょうか?

 

2輪か、4輪かの議論の前に、いつものように、「スーツケースについているキャスターの機能」について考えてみたいと思います。

 

その機能は:

  • スーツケースと荷物の重量を支える
  • 移動時の負荷を軽減する
  • 移動時の方向転換を容易にする

 

といったところでしょうか。 それぞれについて、2輪と4輪との違いを実現手段からまとめてみました。

 

<実現手段>

 

2輪

4輪

1)   重量を支える

移動させるときにはキャスターで、停止時には、キャスターと脚で支える。

キャスター4輪で支える。1輪あたりの支える荷重は、単純計算で2輪の半分となる→キャスターは2輪よりも小型でもよい。

2)   移動負荷低減

車輪を大きくして、不整地路面や段差を乗り越えやすくする。 そのために、車輪部分がケース部に多少埋め込まれる構造となる→容量が埋め込まれた分だけ少なくなる。

車輪の構造により(下記3)参照)、ケース部には埋め込みにくいので、ケース本体をかさ上げすることになり、車輪は小さめになる→移動の負荷軽減効果が少なくなる。

3)   方向転換容易

左右2輪が独立に回転することで、方向転換は容易。 但し、移動はケースを傾けて脚を接地させないことが前提となる。

車軸方向が自由に旋回する旋回キャスターを使うことで方向転換を可能にしている。4輪が接地した状態(立てたまま)でも移動可能。但し、4輪の旋回スペースを確保するとケースには埋め込みにくい。

 

    こうしてみると、キャスターの構造がスーツケースの本体にも影響を及ぼしており、構造によってはケースの容量が小さくなっていることが判ります。 これは収容容量を犠牲にしているということなのでしょうか…?

 

    ここで申し上げたいのが、「機能を配分する」という考え方です。

 

    冒頭、スーツケースのキャスターの機能についてお話をしてきましたが、そもそも、スーツケースの機能とは何でしょうか?

 

「必要な量の荷物を安全に楽に運ぶ」ということが基本機能だとすれば、「必要な量」「どれくらい安全」「どれくらい楽に運ぶ」「どこに収容する」といった基本機能を構成するそれぞれの「水準」が、使用目的に応じて決定されるということ、これが機能を配分するということになります。

 

    そして、車輪の構造もその目的となる機能配分によって決定されるということなのです。

    機能の関係について展開図で表現してみました。車輪はケース持ち運び構造の下位に位置づけています。

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    さて、私はどうしているかというと....。

    移動でスーツケースを引きずり回すことが多く、いままで何台もキャスターを壊してしまい、スーツケース本体は全く問題ないのに、買い替えせざるを得なかったので最近はもっぱら2輪です。

 

    ケースに車輪の部分を内蔵した形になっており、その構造から、車輪も大きめになることから、耐久性が有利、取り回しも楽だという理由をカバン屋さんきいたのがその動機です。車輪が大きいとテコの原理で考えると段差もらくらく取り回せることが解ります。(下図参照)

 

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キャスターが、しっかりした車輪になっているので、走行も静かですしね。

 

    ただ、その構造から、歩行時は手で引き、スーツケースは自身の体より後ろになってしまうので、混雑したところを通るのは冒頭で触れたように他の人との接触の可能性が高くなるので、多少神経を使います。

 

    また、大き目のスーツケースにたくさん荷物を入れると、さすがに引いて歩くのは少々重く感じます。たまに手首が痛くなることも(笑)。 さすがに大型のスーツケースで2輪はないので、キャスターの車輪が比較的大型のもので、ダブル車輪になっているものを選んで使っています。

 

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    前述したように、「必要な量の荷物を安全に楽に運ぶ」ということがスーツケースの機能だとすれば、製品の狙いによって、その下位機能を配分し、様々な本体構造・材質・メカニズムのものが増えてきているといえそうです。

 

    ただ、私の場合は荷物の中身は宿泊に伴うものばかりなので、家と宿の間を勝手に動いてくれれば!  なんて考えてみたりもします。スキーやゴルフの宅急便があるのですから、もう少し安価で簡単な物流のしくみができないか、心待ちにしています。