みぢかを機能で考える

ISIDエンジニアリング・機能エンジニアが機能で考える開発について紹介します。

マウンテンバイクの異音

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季節はスノーボードですね! 年末あるスノーリゾートに出かけましたが、幸運にもノートラックのパウダーに遭遇し、いいシーズンのスタートが切れました。

今回は昨年の積み残しのテーマ、MTBです。

 

読者の皆さんには、日頃何らかの形で自転車に乗っている方がいらっしゃると思います。 乗り方、使い方は様々と思います。

 

毎日乗っていても家で、駅前で駐輪しているときに雨ざらしにしているとチェーンやスプロケットが錆びてくるものです。そのまま乗っていると茶色っぽい赤錆が出て、「キコキコ」、「キュルキュル」といった音がしてきます。街中でも多くの人たちが「キコキコ」させながら走行しているところに遭遇します。また変速時、変速後チェーンとスプロケット(車輪の軸にある歯車)から「カラカラ」という音もなじみがあると思います。

 

この音はなぜ発生するのでしょうか?

 

チェーン自体から発生する「キコキコ」という音は、チェーンの内外のプレート間、あるいはピンとローラー、ローラーとプレート間で、それぞれメタルタッチすることによって発生すると考えられます。またそれ以前に潤滑油切れによって、金属が腐食によって酸化物が生成(錆)され、これが介在することも考えられます。金属同士が擦れあうことにより音が発生し、さらに相互の表面を削りあう摩耗が生じます。

チェーンとスプロケットからの音は、シフトレバーと変速装置をつなぐワイヤーの経年使用による伸びによって、シフト位置が微妙にずれることによります。チェーンの適正位置をシフトレバーのラチエット機構で設定できなくなり、チェーンとスプロケットの歯が干渉することによって生じます。

 

 

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これらの音は、不必要なメタルタッチや、駆動力の伝達位置の不適正から生じます。MTBの場合動力源は人間(ライダー)です。ライダー→ペダル→クランク→チェーンホイル→チェーン→スプロケット→ハブ(*)→スポーク→リム→タイヤ→路面と伝達されます。
(*車輪の中心部にあり、スポークが集中する部分、またはその構造のことです。ネットワークの「ハブ」、空港の「ハブ」の語源はここにあります…ご参考まで)

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(クランク)

 

 

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(スプロケット)

 

部品で羅列してしまいましたが、この一連のシステムは、動力源のエネルギーを路面に駆動力として伝え、MTBを進行方向へ推進していくための運動エネルギーに変換するのが目的です。

音や振動は、このシステムにおいては駆動力を伝えるにはそもそも必要のないものであり、エネルギー伝達におけるロスと考える事ができます。伝達の過程にはエネルギー変換を含むさまざまな「機能」があり下図の様な関係になると思います。

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上記の各ブロックの黄色の箇所がロスに相当する部分になります。

ざっと書き出しただけですが、チェーン自体の摩擦、チェーンとスプロケットの駆動力伝達でロスが生じることになります。

チェーンでは、金属同士(メタルタッチ)が削りあう摩耗や、さらにその時に振動、音が、ロスエネルギーとなって放出されることになります。ロスの大きさは別としても、さまざまなロスにより駆動力を奪われながら走行していることがおわかりと思います。 

これらのロスを低減するために、潤滑油により金属間に油の皮膜を形成し、金属と金属を直接接触させないようにすることを行っています。前述のチェーンとスプロケットの「カラカラ」音はシフトレバー部にあるワイヤーの長さ調整機構により、解消されているのです。

 

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このようにMTB(機械)から発生する音は駆動力を伝達するためのエネルギーのロスであることはお分かりかと思いますが、それらは前述のように本来必要としないものであるので、副作用が起こっている可能性があります。具体的には部品の磨耗なのですが、その副作用は、状況によっては故障の予兆でもあるといえます。

 

私は、適正にそれぞれのコンポーネントが作動しているときの音がどういうものかを認識していくことが重要と思うようになりました。

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ダウンヒルバイクの走行中はチェーンのフレームにあたる音(最近はリア変速機のチェーンテンションの取り方に工夫が凝らされバタつきが抑えられているものもありますが)、サスペンションの作動音、制動時のキャリパー、パッドの音・・・など、さまざまなものがあります。

 

異常が生じてくると、振動、熱などの作動状態に変化が生じ、その結果、音が発生するのです。先シーズン、フロントブレーキのキャリパー付近から「カタカタ」音がするので確認すると、キャリパーの取り付けボルトが緩んでいました。実は、前日油圧ブレーキのオイルの交換をした際に、キャリパーの位置調整をしたのですが、最後に取り付けボルトのまし締めをし忘れていました。これも「カタカタ」音に気が付かなければ、事故になっていたかもしれません。

 

楽しいMTBライフを継続するためにも、日ごろからちょっとしたモノの「機能」に注目することが重要と感じています。